蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

サンクトペテルブルク白夜祭のゲルギエフ指揮「春の祭典」「火の鳥」


♪音楽千夜一夜 第242回

これはロシアの指揮者ゲルギエフが創始したサンクトペテルブルグ白夜祭の2008年6月の公演で、ストラビンスキーの有名な3曲が演奏され踊られている。

さいきんいくつかのバレエ団の公演をビデオで視聴したが、いずれもその劇伴音楽がひどい。ともかく美男美女が上手に踊っていればいいという料簡がみえみえで、その結果総合芸術としては無惨な出来で終わっていたのに対し、ここで見られるヴァレリー・ゲルギエフの指揮とマリインスキー劇場管弦楽団、そしてマリインスキー劇場バレエ団の三位一体のパフォーマンスは素晴らしいというも愚かなものがある。

しかし「春の祭典」と「火の鳥」の演奏は思ったよりも大人しいもので、私はいつか耳にしたモントウーと作曲家ストラビンスキー自身による安定した演奏を思い浮かべていた。これはかつてブーレーズがCBSに入れたなにやら激烈なインパクトのある演奏とは対極的な解釈で、ブーレーズ盤では実際には踊れないのかもしれない。「春の祭典」の演出はなんとあの伝説のニジンスキーのものを復活したそうだが、そのどこか一九世紀風の長閑さも昨今の猛々しい物に比べると朴訥なロシアの村落の味わいがあって好ましかった。

「結婚」ははじめて映像で視聴したが、このバレエ団の女性は美人が多くてめっぽう楽しかった。やはりバレエも美形がよろしい。

今日もまた貴兄のペニスうんと大きくしてあげるというメールのみ 蝶人