蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ローレンス・カスダン監督の「シルバラード」を見て


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.216


 大リーグの開幕戦が行われているのを忘れて録画した映画を観ていたら、なんとイチローが4安打もしていたのだった! 

で、見たのはどういう映画だったかというと、役者だけはケヴィン・クラインケヴィン・コスナー、スコット・グレン、猿の惑星のリンダ・ハント、ちょっと可愛いロザンナ・アークエットなども出演する一九八五年製作の西部劇なのだが、プロットも演出もどうしようもない駄作であった。嗚呼!

昔「日曜映画劇場」というテレビ番組があって、亡き淀川長治さんが解説を務めておられたが、その大半が下らない映画ばかりなので、最大の見どころ聞き所は、それでもなお映画を熱愛する彼がどこを褒めるか。という一点にあったことをはしなくも思い出した。

思うにヨドチョウさんなら、本作品たったひとつの美点である撮影監督のキャメラワークを褒めるに違いない。ジョン・ベイリーがロケ地サンタフェで切り取った馬と風景は、近来稀にみる美しさなのであった。


春蘭はきっと咲いているでしょう妻と見にゆく朝比奈峠 蝶人