蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ビクター・フレミング監督の「風と共に去りぬ」を見て

kawaiimuku2012-05-20



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.250

原作を読んだことはありませんが、お話も映画の作りもかなりゾンザイなもので、どうしてこんなウドの大木のようなぬるい3流映画が世紀の名作扱いになっているのが不可解ですが、マックス・スターナーのテーマ音楽、アトランタ駅前の大俯瞰やビビアン・リーとクラーク・ゲイブルのなかなかの好演、なによりも辣腕デビッド・セルズニックのプロデュース力に依るもんでしょうな。

特にビビアン・リーは彼女のほんらいの性格を地でいった感じで、もともと演技は下手くそだけどここでは実力以上の存在感を発揮しています。

しかしこういうビビアン・リーというかスカーレット・オハラというような手合いは、南部のハイソサエテーならずとも昔からどこにでもいる嫌なやつですな。普通なら誰も見向きもしないが、たまたまちょいと美人だと男どもがちやほやして寄って来る。クラーク・ゲイブルなんかは、(撮影中にリー嬢から口が臭いと非難されていたようだが)、ついつい手が伸びて、結局お互いの貴重な人生を無駄にしてしまう。世間でまっとうなのはアシュレーとメラニー選手の方で、哀れと言うも愚かな気狂い御両人である。

されどあれだけ周囲に迷惑と面倒を掛ければ、さしものゲーブル選手だってもう帰ってきやしない。やれやらこれでお前さんも一貫の終わりかな、と思ったら、まだまだタラがある、とくらあ。大地主はいいね。

そんな便利なタラがあったら、ちょいとこちとらにも分けてくれえ、と言いたくなる。見たことも読んだこともないけど、さだめし続編ではまたぞろゲーブル選手に秋波を送るんでしょうな。

ところで東京生まれのオリビア・デ・ハビランド選手は、御年95歳で健在だとか。長生きしたもんが勝ち。ですかな。


しょうぐあいのある人が盲目にならぬよう月曜日には雨が降りますように 蝶人