蝶人戯画録

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エミール・アルドリーノ監督の「天使にラブソングを!」前後編を見て

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.408409

 

 

映画の終わりではローマ法王まで登場、修道院のシスターになりすましたウーピー・ゴールドバーグが聖歌隊で大活躍するわけだが、ここで気になったのはその聖歌隊の役割と位置付けだ。

 

ゴールドバーグはゴスペル調の振り付けなども行い、たのしそうに歌い踊っていたが、そもそもゴスペルミュージックは黒人霊歌に端を発したプロテスタント系の音楽なので、この映画の舞台であるカトリックにはなじまないのではなかろうか。

 

わたしが幼時に通わされた丹陽教会では牧師夫人のオルガンの音に合わせて聖歌隊ならぬ会衆一同が思い思いに讃美歌を歌うスタイルだったが、それが田舎のプロテスタント教会という場ではもっともふさわしい音楽だった。

 

もしこういうところにウーピー指揮の聖歌隊一同があんな破廉恥なポップス聖歌流を持ちこんで歌い踊ったりしたら、わたしらはただでは済まさなかっただろう。

 

いくら教会に現代性とそろばんが必要だとしても、聖歌隊がチンドン屋になって宣教したり、あまつさえヒットチャート入りを目指したりしてはいけない。この問題に関しては超保守派の私は同じく保守派の頑迷な修道院長マギー・スミスの立場に断固としてくみするものである。

 

好評につき製作された続編ではウーピー選手がサンフランシスコの荒れた私立高校の音楽教師として招かれ、またまたお約束の驚異の大活躍。廃校の危機を見事に救うのだが、この高校聖歌隊の歌唱はヒップホップもフュージョンも取り入れた佳曲で、全米音楽コンクールのライヴシーンはかなり楽しめる。

 

1万円の赤いデジカメが壊れたので9千円の緑のに買い替えました 蝶人