鎌倉国宝館で「鎌倉の至宝」展を観て
茫洋物見遊山記第118回&鎌倉ちょっと不思議な物語第281回
青蓮寺の十一面観音菩薩像など新たに鎌倉市の指定文化財となった仏像などを公開しているが、私のぼんくらな目にはどれも似たようなほとけ様に映るので不信心者はどうにも仕方のないことだ。
それよりも興味深かったのは中世の紙本墨書で、円覚寺蔵の平安時代の鳥羽法皇、鎌倉時代の伏見上皇の院宣や南北朝時代の足利尊氏による御教書の実物で、これら実印が押された所領安堵のほんまもんを見ていると在りし日の梟雄たちの面影がありありと偲ばれるような気持ちになるから不思議なもんである。
余談ながら先般の鎌倉ユネスコ遺産事件で、市や県の当局者たちの中にまたぞろ捲土重来をめざして仕切り直しをしようとする馬鹿者がいるようだが、まっとうな鎌倉市民はもうこれ以上の観光客誘致なぞ(東京資本の金儲け業者以外)誰も望んではいない。
市はそんな虚妄で愚かな悪あがきより、もっと地道な行政サービスに邁進せよ。例えば鎌倉市の障碍者支援の内容は同じ神奈川県の他市のそれに比べてかなり遜色がある。安倍蚤糞のおこぼれにすらありつけないで地べたを蠢いている不可触賤民たちの恨みは深いぞよ。
*本展は来る12日(日)まで同館にてしめやかに開催中。
翠は「悲しきダダ」なおは「怒れるダダ」襤褸を背負いて峠をくだる 蝶人