蝶人戯画録

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リュック・ジャケ監督の「きつねと私の12か月」を観て

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.448

 

最近の動物ドキュメンタリーを見ると、いったいどうやってこんな珍しい光景を撮影できたのかと驚くことが多いが、本作でもきつねの塒や生態がさながら「映画のように」捉えられていることに感嘆する。

 

最近製造中止を言明したフジフィルムが感光したこの映像は、コダックと違って微妙なうるおいを含んでおり、映し出される朝な夕なの森の様相が驚異的なまでに美しい。

 

しかし夢見る幼い少女と1匹のきつねを巡って繰り広げられるこの友愛の物語は、はたしてどこまでが本当のことで、どこからが虚構なのだろう。いくら狐と仲良しになったとはいえその狐があそこまで少女の心を許して秘密の場所に案内したり、一緒に寝たりするものだろうか。

 

少女の家を訪ねてきた!仲良しの狐を部屋に招き入れ、パニックに陥った彼女がガラス窓から飛び降りて落下するシーンは身の毛がよだつ光景だが、これが本当だとしたら余りにも残酷すぎる過失だ。血まみれになって横たわる狐の「死骸」を見ながら、「この映画自体の信憑性」を疑い始めている自分に驚いた。

 

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