蝶人戯画録

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ジョーゼフ・L・マンキーウイッツ監督の「クレオパトラ」をみて

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.451

 

1963年に20世紀フォックスが総力を挙げて映画化した通算4作目のクレオパトラである。

 

ローマの異人たちと浮き名を流したエジプトの女王クレオパトラ7世の生涯をエリザベス・テーラーが熱演している。彼女は歳を取ってからは肥って醜くなってしまったが、この映画での美しさは格別で、インテリアや衣装、メイクの巧みさとも絶妙にマッチしてこの世ならぬ美しさに光り輝いている。

 

これに対してレックス・ハリソンのカエサルは合格としても、アントニーのリチャード・バートン、オクタヴィアンのロディ・マクドールはどうみても役不足で、完全にテーラーの引き立て役に終始している。

 

ジョーゼフ・L・マンキーウイッツの演出はそつがなく、この恋多き偉大なエジプト女王の悲劇にぴたりと寄り添い、壮大なパースペクティブを背景にした陸戦やアクティウムの海戦の描写も見事である。

 

しかし映画はともかく、もしもクレオパトラがアントニーが海戦に敗れたと誤認し故国に逃走しなければ、恐らくアントニーは勝利を収めていたはずで、そうすれば歴史は書き替わっていたはずだから、彼女の早とちりはまさに一生の不覚だった。

 

ミニストップで1杯100円で売っているなんたらコーヒーの異常な不味さよ 蝶人