蝶人戯画録

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テレンス・マリック監督の「シン・レッドライン」を見て

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.485

 

3時間になんなんとする長い映画で、途中で止めようかと思ったのだが、辛抱してエンドマークまで漕ぎつけた。やれやれ。太平洋戦争のガダルカナルの戦闘を米軍側から描いた戦争映画なのだが、ともかくテンポがまどろしくって閉口する。というより監督の演出方針がぶれまくっているからこういう酩酊朦朧映画が出来てしまうのだ。

 

戦闘シーンは確かに過酷で激烈ではあるのだが、それがガ島とも思えぬ緑豊かな草原で行われるためにどこか全体としてセットで行われている嘘の戦争のような印象を与える。

 

この島は日本軍にとっては餓島であり、水も食料もない不毛のジャングルの中で圧倒的な物量作戦に追われたおよそ3万の兵たちが戦闘どころか喰うや喰わずで2万の病死傷者を出して敗退した、地獄のように悲惨な戦いの現場であった。

 

一方米軍側の被害はそれにくらべると軽微であったにもかかわらず、この映画では悲愴なまでに深刻に描かれているので、それが日本人であるわたくしの癇に障るのだろう。

 

いずれにしてももう戦争だけは御免蒙りたいものだが、どうしても行きたい人は自民党の安倍とか石破、維新の橋下、慎太郎が先頭に立つ?アホ馬鹿軍団に続いて、徴兵ではなくてボランティアでどこへでも進軍してちょうだい。

 

 

 

芸術家は霞を食べるしかないのだがその霞がどこにもないという 蝶人