蝶人戯画録

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「第一回超短詩型文学賞」レポート

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「これでも詩かよ」第22番&ある晴れた日に第153回

 

 

「超短詩型文学」への期待が内外で急速に高まるなか、丹波盆地の山紫水明の由良川町で「第一回超短詩型文学賞」が開催され、以下のような作品が最優秀賞に輝いたそうだ。

 

ところで、超短詩型文学とは何か?

 

それは俳句、短歌を中心とする短詩型文学よりも少ない音素(文字数)で構成された文学をさす。俳句が「5++5=17」の音素で成り立っているのに対して、超短詩型文学はそれより少ないゼロから16の音素で構成される。

 

「しらべ」を武器とする短詩型文学に対して、超短詩型文学は音素に内在する「ことだま」および無調ないし無調的音律に依拠して、前者におけるいささかの不毛、倦怠、停滞の状況をいさましく切り開こうとするのである。 

 

 

*「第一回超短詩型文学賞」受賞作

 

ゼロ字部門 該当作なし

 

一字部門 「あ」

 

二字部門 「闇」

 

三字部門 「WHY」

 

四字部門 「あくがれ」

 

五字部門 「こんにちは」

 

六字部門 「グ・ラ・ラア・ガア」

 

七字部門 「薔薇と軍艦」

 

八字部門 「宵闇迫れば」

 

九字部門 「わたしとしたことが」

 

一〇字部門 「おきなめぐみがすきだ」

 

一一字部門 「慈しみ深きエスよ」

 

一二字部門 「由良川に夕陽が沈む」

 

一三字部門 「すたすた坊主がやってきた」

 

一四字部門 「遥かな昔遠い所で」

 

一五字部門 「そんな男のここだけの話」

 

一六字部門 「Rose is a rose is a roseだ」

 

 

短詩形文学はむずかしいけれど、悠長な「しらべ」を当てにできない孤立音型単独点灯瞬間燃焼の超短詩形文学は、もっとむずかしい。

 

しかし国内のみならず世界からもっとも期待され注目された「ゼロ字部門」に当選作が出なかったことは、まことに残念なことであった。

 

 

駐車場で「皆福」という名札を見つけたのが今日いちばんの仕合わせでした 蝶人