蝶人戯画録

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チャップリン監督の「殺人狂時代」をみて

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.563

 

 

チャプリンが次々に見境なしに熟女を殺しては金を盗むが、とうとう悪事が発覚してギロチンに送り込まれという話ですが、原案はなんとオーソン・ウエルズだという。

 

確かに婦女連続殺人事件はスキャンダラスだし、殺される女性のキャラクターもそれぞれユニークで面白いのですが、犯行の動機がさっぱりわからん。30年勤めた銀行を30年の不況で解雇されたのを逆恨みして、いったい誰がこんなだいそれた犯罪にのめりこむものだろうか。

 

ひょっとしてチャプリンは、オーソン・ウエルズにいっぱい喰わされたまくらのではなかろうかと、思う奇妙奇天烈な映画でした。

 

 

夢の中で殺人を犯したりめざめては両の手をじっと見つめる 蝶人