蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ロドリゴ・ガルシア監督の「彼女を見ればわかること」をみて

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.575

 

タイトルからしてまた軽薄でつまらんハリウッド映画だろうと莫迦にしていたら、これが題名も原題どおりだし、またその内容が素晴らしいのですっかり見直してしまった。

 

世におおい女性映画もその大半が男性主導でつくられているが、この作品全体をつらぬく視点、視線(目線などという日本語はない)はあきらかに女性自身のものであって、彼女たちの交友、仕事、妊娠、堕胎、男性とのつきあい方などのすべての点でそのことを感じる。

 

数編のオムニバス(その一つひとつが長編映画にもなりうる優れたプロットを持っている)になっているが、そのいくつかに同じ人物が再登場し、この住みにくい世を懸命に生き抜くささやかな絆のようなものが最後に浮かびあがってくる仕掛けも鮮やか。今は亡きフジフィルムのダークトーンもじつに効果的である。

 

むかし私がリーマン時代にこの映画を推薦して、大阪支店の平君がリーダーになっていた販売員の方々にみていただいたことをはしなくも思い出した。平君どうしているかな。

 

 

タイラ君どうしているのかなと呟いているあいだに走り去りし台風26号 蝶人