山田洋次監督の「男はつらいよ 噂の寅次郎」をみて
闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.597
果敢ない美しさを漂わせていた大原麗子もあっけなく死んでしまったなあ。その果敢なさというのは、首筋の皮膚の下を走る静脈がいつもうっすら見えているような、そんな儚さで、まだ存命中なのに美人薄命という言葉を思わずにはいられなかった。
この映画では、いつもヒロインに肘鉄を喰らっている寅さんが珍しく愛を打ち明けられたが、そういうことなら一度一緒にしてやっても良かった。あとはたびたび共演した浅岡ルリ子もそう。
年に2作も製作していたんだから、一度一緒になってやむを得ず別れてというようなスタイルにしても良かったのではなかろうか。肝心の寅さんが亡くなってからこんなことを言うても詮無き話だが。
ラアラアと悲愴に怒鳴る益荒男振りよりも手弱女振りの喜劇こそヴェルディ 蝶人