蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

上野の都美術館で「ターナー展」をみて

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茫洋物見遊山記第145回&「これでも詩かよ」第47番ある晴れた日に第180回

 

「ターナー、ターナー、ターナー」

 

ターナー、ターナー、ターナー

ターナー、君はおそろしく古臭い。

 

君はまるで銭湯の書き割りのような絵を描く。

遠近法の三角形で構成された画面の遥か彼方には、高い山が聳えていて

山顛から流れ下った清流が、盆地の中をくねりながら流れている。

 

ターナー、ターナー、ターナー

ターナー、君はとても懐かしい。

 

微かに聴こえる歌舞音曲の響き

一本松やシトロンの木の下では、善男善女がしめやかに踊っている。

それは遠い昔の、遥かな土地の懐かしい思い出。

 

ターナー、ターナー、ターナー

ターナー、君は非常に新しい。

 

君は書き割りの絵にも飽きて、姿も形もない絵を描こうとする。

でも、もともとデッサンより色彩の扱いが得意だった君だから

それは、思いのほか楽しかっただろう。

 

ターナー、ターナー、ターナー

ターナー、君はおもしろい。

 

君は保守本流にして異端の冒険家

荒野のバガボンドにしてアカデミーの泰斗

君は古臭くて、懐かしくて、新しくて、おもしろい。

 

*なお同展は来る12月18日まで開催中です。

 

 

ターナーが使いしヴァーミリオン、ネービーブルー、クロームイエロー、豚の膀胱に包まれてあり 蝶人

 

 

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