蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ダミアーノ・ダミアーニ監督の「群盗荒野を裂く」をみて

 

bowyow cine-archives vol.637

 

大きな状況としてはメキシコの貧農と大ブルジョワの階級闘争があり、権力者に歯向かう主人公たちの政治的立場が暗示されているが、小さな状況としては、金欲や性欲や権勢欲、それに不可解な男同士の友情などが月に群雲花に風であり、映画としてはもっぱら後者の軋轢や盛りだくさんないさかいをゴキブリホイホイのように喜んで追いかけているのだが、やっぱり最後は悠久の大義、偉大なる正義の大思想の突如本家帰りしてしまうというまことに格調高いというかけったいな映画であった。

 

小状況の世界ではやたら根拠もなく人を殺すのに、大状況の世界に入ると、もったぶった人殺しの理屈をでっちあげるところが不可解であり躓きを覚える。

 

 

なにゆえに右の毛だけが禿げたのか耕君がそこを激しく叩くから 蝶人

 

 

 

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