蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

「神奈川県立美術館鎌倉館」を美術館として保存しよう!

f:id:kawaiimuku:20071018113026j:plain

 

 

鎌倉ちょっと不思議な物語第316回& バガテル-そんな私のここだけの話op.178

 

風薫る皐月となったが、鎌倉の鶴岡八幡宮が所有する土地に立つ世界の名建築、神奈川県立美術館鎌倉館が危急存亡の淵にあることは、テレビ、新聞、ネットで報道されているとおりである。

 

八幡宮と県との借地契約が2年後に切れる同館を、財政難の神奈川県は閉館、解体し、地主に更地で返還しようとしているのだからこれに反対せずになんとしようぞ。

 

私はこの建物が、ル・コルビュジエに支持した坂倉準三が1951年に建てた「現代建築の源流」でなくとも、その後背地の平家池と見事に調和したこころなごむ静謐でかけがえのない空間であるという理由だけで、この場が地上から永久に失われることに反対しているのだが。

 

鎌倉市ユネスコ世界遺産登録をめざして狂奔しているが、そんな愚にもつかない運動よりも、とんでもないあほばか方針を打ち出している県当局を説得して、半世紀以上も市民のみならず観光客に大いなる感動を与え続けてきた、この貴重な歴史的、文化的、精神的遺産を解体させないために、体を張って?抵抗してもらいたいものだねえ。

 

さいわいにも本年2月、内外の有識者からの抗議の声に押されて、神奈川県と鶴岡八幡宮は、その保存に向けた調査を(費用を折半しながら)4月から開始しているが、なんとか同館の地下に眠る中世鎌倉の遺構を破壊せずに、耐震工事が可能な道を見いだして、この名建築の生き残りを図ってもらいたいものである。

 

 

なにゆえに本邦屈指の美術館を取り壊す八幡宮に祟りがあるぞよ 蝶人