蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

「MOZART 111 MASTERWORKS」を聴いて

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音楽千夜一夜第331回

 

 

モーツアルトが好きな人にはお薦めの、なんと111曲55枚組CDの選集です。

 

生きていても正体不明の怪人アーノンクールの「フィガロの結婚」のように生命力皆無の青菜に塩の駄作もあるけれど、死んでもなお元気なベーム翁の「魔笛」、「後宮からの脱出」、アバド&ヨーロッパ室内管の「ドン・ジョバンニ」、同じアバドの「レクイエム」、バーンスタインの「荘厳ミサ」が、ヒメギフチョウ舞う春のさかりから、目に青葉初鰹の初夏へと、時の経つのを忘れさせてくれました。

 

殆んどすでに聴いたことのある、あるいは持っているCDの演奏ばかりでしたが、ジェームズ・レバイン&ウイーン・フィルの交響曲集と、同じ組み合わせによる「コシ・ファン・トッテ」はとっても素晴らしい。

 

ベーム翁の腹にズンと応える演奏とは正反対(ここで「真逆」なる醜い非日本語を使用してはならない!)の5月の薫風のように軽やかで繊細で哀しい疾走に触れることが出来るとは、さすがにジョージ・セルの愛弟子なり!

 

それにしてもこのぶよぶよ豚豚の好漢、どうして手抜きの演奏をしてウイーン・フィルから追放されてしまったのかと残念無念でなりませぬ。

 

 

なにゆえにテレーズのパンンツは汚れてるバルテュスが夢見る少女の妖しさ 蝶人