蝶人戯画録

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田中徳三監督の「眠狂四郎 殺法帖」&三隅研二監督の「眠狂四郎 勝負」をみて

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bowyow cine-archives vol.695&696

 

 この2作が市川雷蔵主演のシリーズの嚆矢となった記念すべき作品である。

 

 前者ではヒロインが可憐な中村玉緒、宿敵役になんと勝新太郎ならぬ若山富三郎が登場するのであるが、彼の武器は素手の拳法なので笑ってしまう。いくらブルースリー張りのアクションをみせても剣や飛道具にかなうわけがないではないか。

 

 それでも狂四郎の剣を両手で拝み取りするから大したものだが。

 

 後者では、影のある藤村志保と妖艶な久保菜穂子、可愛い高田美和が彩りを添えているが、注目すべきは芸達者な加藤嘉勘定奉行役の老人役で出演していることで、大根役者の雷蔵のお株を完全に奪っている。それにしても同じような題材で同じような役者を使いながら田中徳三と三隅研二の演出力の違いには驚くほかない。

 

 

 なにゆえに一睡もできないのかセレトニン少なくなりし妻 蝶人