蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

高橋源一郎選手の講演会「太宰治vs津島修治」を聞いて

茫洋物見遊山記第129回&鎌倉ちょっと不思議な物語第290回 6月最後の日曜日の昼下がり、市の商工会議所ホールではじめて源ちゃんの講演会を聞きました。ことし62歳になる彼だが、モスグリンの細身の野球帽をかぶり、リュックの中から太宰の文庫本を9冊も…

小谷野敦著「川端康成伝」を読んで

照る日曇る日第602回 いくつかの作品はともかく、小林秀雄が「がらんどうのようだ」と評したこの人物についてはあまり興味もないが、たまたま手にとってつらつら目を晒してみたらなかなか面白かった。岐阜提灯のようにがらんどうと見えた内部には、天才的作…

水無月詩篇

ある晴れた日に第135回 「悪と善」 ブレッソンの「ラルジャン」という映画では、高校生がこづかい稼ぎのために作った偽札をつかまされた真面目な労働者が、親切なおばあさんとその一家を斧で皆殺しにしてしまう。江戸の敵を長崎でとはこのことか。 誰かか…