蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

コジュケイの歌


♪ある晴れた日に その8


鎌倉の滝のほとりに竹生いて 四方竹とぞ村人は呼ぶ

世の中の労がわしきこと絶えずして 四角四面になりにけるかも

したり顔のファシスト共は跳梁す 闇に消えたるテレヴィの奥で

自分が嫌じゃ、他人が嫌じゃ、日本が嫌じゃ、世界中が嫌じゃ

こっち来いこっち来い コジュケイの不意の呼び出しに我は慄く

森行けばこっち来いこっち来い 黄泉の国よりコジュケイは招く

一挺のチェロ一挺のカラシニコフを携えて ロストロポービッチは黄泉に行きたり

一瞬に我と世界を打ち砕く ただ一挺の拳銃を求めて

森の奥闇はますます深くして テロリストのパラソルついに開かず

「ありがとう」といいながら京急バスを降りていく小学生が私は好きだ