蝶人戯画録

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断腸亭主人の紳士洋装論その3


ふあっちょん幻論第34回 メンズ漫録その12

断腸亭主人、荷風散人いわく。洋服の手本は西洋である。しかし色白の西洋人に似合っても、黄色の日本人には合わない色柄が多い。例えば英国人が着るキツネ色の外套は、日本人には似合わない。
日本人には黒・紺・ネズミが無難である。また縞柄の粗いものは下品になりがちだ。しかし霜降りなら無難である。

形は、背広、モーニングコートフロックコート、燕尾服がある。背広は普段着でまあ着流しと同じようなものだ。日本人は背が低いから、モーニングは似合わない。

スーツは米国では欧州に較べて上下ともゆったりした仕立てだが、同じ欧州でも英国は少しゆるやかな感じである。仏蘭西はキチンと身体に合わせたシルエットであり、袖のつけ方なども堅苦しい。

婦人物なら仏蘭西が一番と言われるが、紳士の背広は英国が世界で随一だ。しかし私の経験では、日本人には米国風が一番似合うようだ。

上記の永井荷風の見解には、あまでうすも同感です。


あほばかの鎌倉市役所が薙倒したる不毛の荒野に土根性蛙 茫洋

この春もおたまに出会いしうれしさよ 茫洋