蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

鴉鳶


バガテルop119

世間では小沢対検察の全面戦争などと物騒なことを言うておりますが、これではいったい何のための政権交代であったのか、金銭モラルの欠如した2人の頭目を担いだ政党の愚かさ、そして渡辺爺以外誰ひとり言うべきことも言わず牡蠣のごとき沈黙を守る腰抜けフレッシュマン共に愛想を尽かして霊園の丘に登れば雲ひとつない冬晴れの青空の追いつ追われつ3羽の鳥、よく見れば飄然と円弧を描く茶色い鳶を2羽の鴉が執拗に追う姿がのぞまれ、これは面白いどちらが勝つだろう、小沢か検察か、検察か小沢か、どっちが小沢でどっちが検察かと大理石の墓場にどっかり腰をおろして仰ぎみれば、鳶の優雅でさえある悠長な飛翔に比べて黒くて敏捷な鴉どもの攻撃の激烈にして執拗なこと見事というも愚かなる対比をなし、いかにも狡猾な黒組ドウオは前から後ろからあだかも旧型零戦を挟み打つP-38の如く挑みかかりしがやがて1機は戦線離脱、残る1機は倍旧の憎悪と熱情もて仇敵廊下鳶に躍りかかりしがくだんの薄茶鳥くるりくるりと巧みに嘴撃を交わしつつ輪舞乱舞弾舞やがて阿弥陀仏鎮座まします遥かなる西方浄土に消え去り跡に一片の紫雲漂えり。



♪1羽の鳶をどこまでも追いかける2羽の鴉 茫洋