蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第34回

bowyow megalomania theater vol.1


あっちか、こっちか、戦うか逃げるか、右か左か、そんなことどうでもいいじゃないか。無理矢理どっちかに決めるほうがおかしいんじゃないか。

それに右のほっぺたを叩かれたら、左のほっぺたをどうして叩かなければいけないのだろう。

誰かが殺されたら、その代わりに誰かを殺さなければいけないのだろうか。

もし僕が殺されても、死んだ僕が、僕を殺した奴を殺したいかどうかはわからないはずだ。まして僕以外の人間にそれがわかるはずはない。

もし殺したければ死んだ僕に殺していいかどうかをよく聞いてから殺せばいいのだ。

と僕はいつも思っていました。だから、その時も、

「そんなこと急に開かれても、どうしていいか、僕わかんないおお」

と公平君に答えました。そしたら公平君は、

「ふつうはどっちでもいいんだけどね。でも男ってもんは、一回は右か左かどっちかに決めなくちゃいけにときがあるんだよ」

と言いました。



とっくに括弧に入れられた純粋理性をゴキブリどもが喰い散らかしている 茫洋