蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第35回

bowyow megalomania theater vol.1

のぶいっちゃんとひとはるちゃんは、

「ちくしょう、おいらをあんなひどいめにあわせやがって。くそっ、皆殺しだ! 

だいたいわいらあを星の子みたいな地獄に入れっぱなしにしておいて一度も見に来ない親も親だ。

わいらあをトレーラーの中に3日間も放り込んでメシもろくろく喰わせなかった校長も教頭も主任も、みんなあろくでなしの連中ばかりだ。

あんな奴らは生かしておいても誰のためにもなりゃせん。あいつらもおまわりも大嫌いだ! 

みんなみんなぶっ殺してやる! 出てくる敵はみなみな殺せえ!」

と絶叫しました。

そうして公平君のベルトからピストルを抜きとると、2匹の猿のように真っ赤に紅葉したカエデのてっぺんまでするするとよじ登って、ドオーンと1発大空めがけてぶっぱなしました。

深い憎しみのこもった銃弾の轟は阿弥陀山の渓谷を殷々とゆるがせ、木々の梢を越え、上空をゆるやかに旋回する鳶を驚かせながら、三浦半島の彼方に消えていきました。



人格が毀損されているからあらゆる制度が劣化する 茫洋