蝶人戯画録

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ラッセ・ハルストム監督の「ショコラ」を見る

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.45

監督がどうこういうよりも、まあジュリエット・ピノシュ主演の映画です。

かつてゴダールに見出されたピノシュは、どこまで成長するのかと期待を抱かせましたが、はじめは処女の如く終わりは脱兎の如しとはよく言うたもの。堂々たるハリウッド映画で主演をとる立派なチョコレートおばさんになりました。まずはめでたし、めでたし。

フランスの寒村にふらりとやってきた親子連れが、ちょいとお洒落なチョコレート菓子屋さんを開く。ところがその村を統べる村長はがりがりの禁欲派のカトリック。教会にもいかずジプシーのようなフリーター集団と仲良くする自由派のピノシュちゃんをことごとに弾圧します。

一時はめげて脱出逃走を図った彼女ですが、心ある少数派の支えと甘いショコラの禁断の味を武器に、とうとう保守頑迷で冷たい村人たちの心を溶かすのでした。パチパチ!

なおこの映画のお話によれば、トウガラシの入ったチョコレートには萎えた男の欲情を強烈に刺激する効用があるようですが、どこかで通信販売すれば爆発的に売れると思います。近頃人気のジョニー・デップもピノシュの相手役で出ているようですが、いったいどこがいいのかさっぱり分からない俳優です。


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