蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第52回


bowyow megalomania theater vol.1


雨は次第に勢いを増しながら、少なからぬ犠牲を出した機動隊と警官隊員の上に、そしてほぼ壊滅した星の子の仲間の上に、激しく降りつのりました。

その日から一週間降り続けた集中豪雨は、不思議なお家を跡かたもなく押し流し、敵味方あわせて二百五十名の死体をお互いの敵意と殺意もろとも滑川の本流めがけて一気に押し流し、滑川から由比ヶ浜に流れ下り、相模湾の遥か彼方の太平洋へと運び去って行きました。

さしも狂ったように降り続けた雨がようやく上がり、ひとの心を突き刺すような青い満月が再び阿弥陀山の宙天高く昇った晩、薄絹のヴェールに身を包んだ洋子は、十二所神社の能舞台の中央にゆるゆると歩み出ました。


あずま遊びのかずかずに
あずま遊びのかずかずに
その名も月の色人は三五夜中の空にまた
満願真如の影となり
御願円満国土成就
七宝充満の宝を降らし
国土にこれを施したもう



柑橘を生らして捨てる大農家 茫洋