蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

続 狂言綺語

バガテルop138


今年のセミが鳴かないとか少ないとか騒いでいるが、こと鎌倉の十二所地区に限ってはそんなことはない。当地で例年ニイニイゼミが鳴き出すのは7月の4日前後であるが、今年のニイニイゼミの初鳴きは6月27日でいつもより早く、その日から今日までたくさん鳴き騒いでいる。ニイニイからアブラゼミの間には梅と桜ほどではないが少し間隔があり、その合間を縫ってカナカナが鳴き出し、本格的な盛夏の到来を告げるアブラゼミやミンミンゼミが鳴くのは、当地では7月22から29日の間である。

以上は小生の過去6年間のデータに基づいて書いているが、もし可愛いセミたちの今年の全国的な発生が遅れていたり、最悪の場合発生数が少なかったとしたら、それは累積温度やまして福島第一原発の累積放射能せいなどではなく、数年前の発生個体数が少なかったからだと考えられる。

日本経済新聞には俳句と和歌の投稿欄がある。かつて私は黒田杏子という女性が選句する「日経俳壇」に拙い一句を「葉書」で投稿して採用されたことがあった。最近インターネットでも投稿できるようになったというのでまたやってみようとしたら、2名の選者のうちくだんの黒田女史だけはネット投稿を認めていないというので驚くとともに、その見識の高さに脱帽した次第である。所詮横書きは俳句にはなじまないと彼女はよく知っているのだ。

残念ながら今年のイチローの200本安打は絶望的だ。どんな天才にも末路はくる。晩節を汚さずに潔く引退するか、それとも松井のようにぼろぼろになってどさ回りの道を選ぶか。私は苦闘する後者の姿を見たい。


丸印は性交ありし日か荷風日記 蝶人