蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第3部さすらい 第12回


bowyow megalomania theater vol.1


「洋子って君の女なの?」

と聞くと、のぶいっちゃんは、

「あったりメエよ。とっくの昔からおれの女よ。おれの言うことは何でも聞く、何でもするんだぞお」

といばっているので、洋子に向かって、

「ほんとうに洋子はのぶいっちゃんの言うとおりにするの?」

と聞くと、小さく左右にかぶりを振りましたので、

「洋子は違うと言ってるぞ」

と言うと、のぶいっちゃんは怒り狂って僕にのしかかってきました。

それからまたしてものぶいっちゃんは僕をさんざんなぐったりけったりしましたので、僕はたくさんの血がどくどくと出て、あざもできてとても痛かったけれど、じーっと我慢をしていました。

そしてエーン、エーン、エーン、と泣きました。

エーン、エーン、エーン、痛いおお、痛いおお、と泣きました。



狼にロ短調ソナタ弾く少女かな 蝶人