伊藤大輔監督の「反逆児」を見て
闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.442
大仏次郎の原作を伊藤大輔が中村錦之助主演の映画にした。原作は読んでいないが、秀吉の命令で殺された家康の妻築山殿と長男信康の悲劇に焦点をあてたところが面白い。結局これが家康の生涯の分岐点となって戦国勝ちぬきレースの鍵を握ったエポックメーキングな体験だったと考えられるからだ。
大仏・伊藤説では悪いのは信長と武田に通じた築山殿で信康や家康は被害者だが、最近の研究では家康陰謀説や家康父子対立説、仲介者の酒井忠次陰謀説なども出現していったいどれが真実なのかさっぱり分からない。
役者については築山殿の杉村春子は相変わらず芸達者ぶりだが、錦之助はいつもと同様熱演が空回りして見ているだけで暑苦しい。
それにしてもこの映画のタイトルの「反逆児」はまったく意味不明。信康が誰に対してどのように反逆したのかさっぱり分からない。
満員の車内の人が押し黙りスマホを見詰め指繰る朝 蝶人