ジョン・フォード監督の「馬上の二人」を見て
闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.444
珍しくジョン・フォードがジョン・ウエインならぬジェームズ・スチュアートとリチャード・ウィドマークを起用した西部劇で、冒頭の酒場での導入の巧みさに感嘆する。
しかし本題は山っけたっぷりの保安官のスチュアートと月給80ドルの軍人のウィドマークの男の友情物語で、馬に跨った2人はコマンチに誘拐された白人の捜索に乗り出す。
5歳の時に誘拐された息子が、15年後には凶暴なコマンチの戦士に変身していて待ち焦がれていた母親を殺したり、それゆえに私刑にされる前に幼時のオルゴールの音楽を覚えていたり、やはり誘拐されていたメキシコ娘が白人たちの差別と偏見に毅然として戦ったり、そんな娘にほだされた金の亡者のスチュアートが酒場のマダムを捨てて一緒になる決意を固めたり、その酒場の熟女がガーターベルトに短剣を挟んでいたり、親友のウイッドマークも立派な恋人を勝ち得たり、例によってフォード炸裂の展開の波瀾万丈の展開となり、みるものを一瞬たりとも飽きさせない。
あらくれの荒野にたくましく生きる2人の男が、やっさもっさの挙句についに真実の愛にめざめるこの西部劇は、その両優と名匠ジョン・フォードの代表作の名に恥じない傑作である
一戦したちまち滅びる国よりも永久不戦のこの身いとおし 蝶人