蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

夕方になりました。

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「これでも詩かよ」第26番&ある晴れた日に第157回

 

 

 

「夕方になりました。ライトに注意してください」と、トヨタのアクアが突然言うた。

2013年9月20日の金曜日の午後5時半ごろのことだ。

 

君はいままで、「今日は何月何日何曜日です」とか「まもなく踏切です。注意してください」とか「信号に注意して下さい」しか言わなかったのに、たまには違うセリフも喋るんだね

 

と、私が驚いていると、アクアはまた言うた。 

「もちろんです。他にも言えますよ。退屈でしたら、一発ジョークをぶちかましてご覧にいれましょうか?」

 

できるもんなら、やってみな。

 

「コンコン、誰がキツネですか? トントン、誰が豚ですか? ドンドン、誰が太鼓ですか?」

 

なんだ、高田純次のダジャレじゃないか。

 

「あははは、バレちゃいましたか」

 

それより君の会社は、円安ドル高で大儲けだね。

 

「いえいえ、たいしたこたあありませんや。アベノミクスが失敗したら、すぐに元のモクアミです」

 

しかし君の会社の車は、相変わらずダサイね。特に内装と色彩が下手くそだね。少しライバルの日産を見習ったほうがいいよ。アクアの一押しのあのアクアカラーは、青が濃すぎて水の色じゃないし、君の外装には「ライムホワイトパールクリスタルシャインカラー」なんてご大層な名前がついてるけど、結局ただの白じゃないか。

 

「おっしゃるとおりでげす。恰好つけて誠に申し訳ございません」

 

燃費世界一のキャッチに惹かれて君を買ったんだけど、間もなくホンダのフィットに抜かれるというじゃないか。一体どうなってるんだね。

 

「いやあ油断大敵、ガソリン大好き、こんなにアッサリ抜かれるとは思いませんでした。社長によーく申しておきます」

 

そしてアクアの奴め、それっきりすっかり黙り込んでしまったのだった。 

 

 

太平洋に1日300トン流れる汚染水ノーコン首相にみな呑ませたし 蝶人