蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

今日の仕合わせ

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「これでも詩かよ」第41番ある晴れた日に第175回

 

 

その1。

お昼に大きな音を立てて柱時計が落ちたけれど、誰も怪我しなかったこと。

 

その2

妻が「あなたの歯の痛いのが治りますように」と祈りながら、温かな手を私の顎に当てたら、驚いたことに痛みが引いてご飯が食べられるようになったこと。

 

その3。

勢いに乗った妻が、次郎(被災地からやって来た犬)と散歩にやって来た太郎(亡くなった先代の犬)の飼い主だったおばさんの手当てをしてあげたら、なんと関節の痛みが急に和らいでたやすく歩けるようになったこと。

 

その4。

障がい施設で働いていて、喚きながら1日40本も妻に電話をしてくることもある耕君からの電話が、たった3本!しかなかったこと。

 

その5。

夕方、太郎のおばさんから、カボチャとニンジンを頂いたこと。

 

その6

家族の誰もが怪我や病気をせず、無事に一日を終えたこと。

 

その7。

名月の下で、月下美人が3輪も咲いたこと。

 

その8

この国に大きな地震や津波や原発事故が無かったこと。

 

その9

凶悪なレギュラン星人が、地球を来襲しなかったこと。

 

その10

今日が「最後の審判の日」ではなかったこと。

 

 

午後五時に酒場の仕事でバスを待つ美貌の寡婦の足の細さよ 蝶人