空よ
「これでも詩かよ」第43番&ある晴れた日に第176回
空よ、君は、いつも流れている。
君は、いつも黙っている。
おそらく君は、なにか考えているのだ。
考えながら、みずいろの夢を見ているのだ。
私は君がなにを考えているのか、知りたい。
君がなにを夢見ているのか、知りたい。
空よ、君は退屈すると小さな声で啄木の「雲は天才である」を朗読したり、
♪三千世界の烏を殺しお主と朝寝がしてみたい、とウナって赤面したりする。
たまには人間たちが蟻のように蠢く地球を見下ろして、
胸に手を当てて目を瞑ったり、微かなためいきをついたりする。
空よ、君は素晴らしく機嫌の良い日には、
太陽に向かって微笑んだり、「青い山脈」をバリトンの裏声で歌ったりもする。
けれども、君が怒ると恐ろしい。
風神や雷神なんかがとつぜん登場して、とんでもなく物凄いことになる。
空よ、君は、いつも流れている。
君は、いつも黙っている。
おそらく君は、なにか考えているのだ。
考えながら、みずいろの夢を見ているのだ。
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