ラルフ・ネルソン監督の「野のユリ」をみて
闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.593
とかく熱烈宗教人というのは剣呑で、イスラムにしてもキリスト教にしてもすぐに分派闘争を始めて流血の惨事を招くのであるが、東独、チエコ、ハンガリーからやって来たカトリックの修道女たちのおばはんが、パプテスト派の黒人の霊歌「エーメン」をともに歌うところが素晴らしい。
彼女たちのためにアルバイトをしてもお金を払ってもらえず、そのままずるずると勤労奉仕する黒人役のシドニー・ポワチエとの遣り取りもユーモラスだし、「野のユリを見よ」という言葉がその中で飛び出てくるシナリオも絶品である。
無一文ながらどうしても教会を建てたいという修道女の熱望を叶えた黒人が、そのハレルヤを歌いながら宗派の異なるミサには出ないで姿を消すラストも感銘深い。最近こういう映画が跡を絶ったなあ。
ケアホーム障碍者への家賃援助を市に求むわれらの陳情採択されたり 蝶人
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