蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

国家は滅亡する

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「これでも詩かよ」第53番ある晴れた日に第187回

 

 

国家は、たとえば「スター・ウォーズ」の帝国軍の巨大ロボットである。

しかし映画と違って、運転席には誰も乗っていない。

無人のロボットがコンピューターで制御された自働律に従って自動的に作動しているだけ。森の小人たちが張りめぐらしたロープに足を取られて、地響き立ててドウと倒れる。

 

国家の命なんて、瞬きする間にすぐ尽きる。

ギリシアも、ローマも、ペルシアも、インカも、

ナチスドイツもムッソリーニのイタリアも、ソ連も、すみやかに滅んだ。

北朝鮮や中国や日本やアメリカが滅ぶ日も、そう遠くはないだろう。

 

おのれの滅びの日の到来をうすうす予感している国家は

日に日に弱まりゆく国家同士の絆を強めるために

自分の頭で考え、自分の心で行動する私たちをスパイとみなして監視し

いつでも叩きつぶそうと秘密裏に国際シンジケートを結成している。

 

けれども国家のほんとうの主人公は、私たちである。

私たちが気に入らなければ、どんどんぶっつぶせばいいのだ。

するとまたどこからか新しい幻想が湧いて出て、

代わり映えのしない新しい共同体を生みだすのだろう。

 

 

なにゆえに都民は嘘つき知事をリコールしようとしないのかとても不思議だ 蝶人