蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ロバート・スティーヴンソン監督の「メリー・ポピンズ」をみて

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.614

 

どうにもミュージカルとミュージカル映画はどこがばかばかしいのかよく分からないくせにばかばかしくて見る気にもならないが、でもまあ我慢してみてしまったわけだが、思うにかの有名な「チムチムチエリ」の歌が無かったら、こんなしょもない映画はヒットしなかったのではないだろうか。

 

なかんずく途中でウオルトデーズニー特製のアニメが出てきて、ポピンズ嬢たちにからんだりするところなぞ限りなく退屈だが、子供たちの2シリングを巡って銀行が大混乱するところなどはそれでまもまあ辛うじて見るに耐える。

 

結局この映画の見所とは、最初と最後でメリー・ポピンズが空から舞い降りて空に向かって旅立つ所で、はてさていったいこの女性は魔女だったのか、はたまた天使だったのかと首をかしげているうちに、この余りにも長すぎる映画は終わるのである。

 

木枯し紋次郎風の又三郎と同様、いずこからともなくやって来たメリー・ポピンズは、退屈で権威と秩序に覆われた此岸の人々の日常性を非日常的なポップなノリで愉快にひっかきまわして、それが一段落すると彼岸に旅立ってゆくのである。

 

すなわちメリー・ポピンズにあらずして、メリー・ポップピンズなり。

 

 

なにゆえにsupercalifragilisticexpialidociousよりsmilesが長い英語なのかsmileしながら考えてみよう 蝶人