蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ヴォルフガング・リーベンアイナー監督の「菩提樹」「続菩提樹」をみて

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.618

 

 

あの有名なトラップファミリーの自伝を1956年に映画化した西ドイツ作品で、私は後年の「サウンド・オブ・ミュージック」よりこちらをとる。ジュリー・アンドリュースよりルート・ロイヴェリクのほうが圧倒的に素晴らしい。

 

ナチの魔手を逃れて遥々アメリカまで逃げのびた家族たち。NYの入国管理所に響き渡るシューベルトの「菩提樹」が涙また涙のかんどうを呼びます。

 

ラストで歌われる「ブラームスの子守歌」。これを見たのはたしか私が小学生の時だったから、半世紀ぶりの対面かしら。それにしても洒落たエンディングだなあ。

 

続編はすべてアメリカロケ。それが西独映画なのも珍しい。晴れた空にエンパイアステートエントビルとクライスラービルが映える。

 

なんとかかんとかNYに上陸したものの、興行師に契約を破棄されたり客が不入りだったりいろいろ苦労しながらも最後はこの新大陸の移民として見事定着するまではらはらどきどきが見所。

 

ラストは「美しく深い谷間で」を家族一同で歌いつつ「アウフビーダーゼーン」とお別れ。いい映画です。

 

 

なにゆえに「ごちそんさん」を日に2回も見るのかそれほど暇人ではないはずなのに 蝶人