蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第2回

西暦2013年葉月蝶人狂言畸語輯

 

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さすがは「徹子の部屋」だ。もっぱら黒柳徹子が喋りまくっている。

 

全国津津浦浦まで張り巡らされている安倍自民党のポスターをはがせ。顔は笑っても眼は笑っていないあの虚ろな表情はそうとう不気味だし、そもそももう参院選挙は終わったのだ。8/31

 

広島カープのユニフォームはとても醜い。ブルーの色目の選び方、特にボトムのそれの気色悪さには身の毛がよだつ。間違いなく全球団中最悪。いったいどこのどいつがデザインしたのか。13/8/29

 

君主の寛恕は、往々にして民心を得るための術策に過ぎない。ラ・ロシュフコー(二宮フサ訳)

 

ケアホームを利用する入居障碍者に対して、市独自の家賃補助を求める陳情書を鎌倉市議会事務局に提出した。神奈川県内、他市では、国の補助金のほかにそれぞれ市独自の家賃補助があるのだが、鎌倉市にはないのである。8/27

 

短歌や俳句で旧字、旧仮名を遣う人の方が圧倒的に多い。私はその国語国文学的正統性を認めないわけではないけれど、実際にそれを遣う時に少なからぬ抵抗を覚えるのは、その慣習が既に時代遅れであり、事実上「旧字、旧仮名は死んでいる」からだろう。13/8/25

 

ユネスコ世界遺産登録を願う人間の大半は、観光で大儲けしたい商魂とか、なんでも有名になりたいという虚栄心で動いているのであって、その遺産の真価などはどうでもよいのである。

 

「演歌」か「怨歌」かはいざ知らず、藤圭子の潰れた喉から発せられる奥深い低音は、私たちがとっくの昔に遠い場所に置き忘れた忌まわしき野蛮の跳梁だった。藤圭子よ、今宵冥界からの「夢は夜ひらく」を聴かせてよ。8/23

 

日米4000本安打を達成したヤンキースイチロー。彼がブルージェイズで孤軍奮闘する川崎と2塁ベース上で交わしたさりがないタッチに、いたく感動した。8/23

 

絹のパジャマは偉大なり。寝苦しい真夏の夜もこれさえあれば涼しく過ごせる。

 

いい人ね、優しい人ねと「伊豆の踊子」で出てくるような言葉で人の性格を断じてはならない。人間の地金は、表層の「人間脳」や中間部の「動物脳」の内部ではなく、その下にある「爬虫類の脳」の奥底に潜む固い果実のような原核に在るからだ。13/8/20

 

当たり前のことだが、スタンダールの「赤と黒」やドストエフスキーの「罪と罰」などを知る若者は殆んどいない世界に私たちは生きている。

 

神曲」の地獄篇は、1つには人間には神の報復があると思わせ、1つには人間をして秩序と規範に向かわせる効用がある。

 

無聊を慰めるために2種類以上の音源を同時多発的に鳴らしたり、音源の種類をどんどん交換してみると、いっときにせよ通常の音楽鑑賞の退屈さから免れることができるだろう。8/17

 

私たちの注意力の限界はたかだか5分であり、その最大値はほんの数秒にすぎない。だから私たちは瞼を閉じる瞬間に聴こえてくるあるかなきかの非音楽的音響を含めた「音楽」に、驚くほど鋭く反応するのである。8/17

 

かつての国家神道の拠点であり、戦争最高責任者たちはもちろん無名の死者の遺骨も本人や家族の許諾なく勝手に埋葬したりするいかがわしい神社に、年に一度だけ政治家たちが公人として参拝するのは浅はかな売名行為である。そんなに英霊に感謝したければ、毎朝近所の神社を私人として参拝すればよい。13/8/16

 

自己愛こそは、あらゆる阿諛追従の徒の中の最たるものである。ラ・ロシュフコー(二宮フサ訳)

 

我々の情熱がどれほど長続きするかは、我々の寿命の長さと同じく、自分の力ではどうにもならない。ラ・ロシュフコー

 

情熱はしばしば最高の利口者を愚か者に変え、またしばしば最低の莫迦を利口者にする。ラ・ロシュフコー

 

時折民主党が世論を味方につけて自民を圧倒し、矢継ぎ早に政治改革案を打ち出した日々のことを思い出す。あの時点でもう少し彼らがうまくたちまわっていたら、こんな悲惨な状況を迎えることはなかったのだが。後の祭りとはこのことだ。8/10

 

ジャン・クリストフ・マイヨー振付のモンテカルロ・バレエの「白鳥の湖」をみると、英国やフランスやロシアの同名のバレエの上演が児戯に類した体のものと思われてくる。ところで過ぐる68年、俺たちは児戯に類することばかりやってきたのではなかろうか?8/9

 

息子が遠くへ去ってしまうと、私は途方もない淋しさを感じた。恐らく私の両親が感じたに違いない淋しさを。8/9

 

今日一日はある人の追悼のために沈黙を守ろう。

 

どうしてこの国の人々はチャラチャラしたチンケな洋犬を好んで飼うのだろう。ウルトラ右翼の本流にして超愛国主義者のわたくしは、自慢じゃないが、山中深く棲息する由緒正しい無料の野性の和犬しか飼ったことはない。つまり野良犬だあな。8/13

 

夜遅く滑川に沿って歩いていたらポチャンという水音がしたので、もしやと思って川面を覗きこむと2メートル近い鰻が月明かりの中で踊りくねっていた。私の夏の懐かしき友、滑川名物の天然大鰻。8/6

 

安倍内閣が法制局長官の人事に手を入れた。これは憲法96条改定策と同様、正面から敵陣に向かうのを避け、まずは外堀から埋めて天守閣を倒そうとする卑劣な家康的陰謀であるな。どうして日本がアメリカの敵と戦う必要があるのか?

 

NHKは一日も早く「サラリーマンNEO」を再開せよ。NHKのアナは「なので、なので」などと白痴的に発音しないで、「それなので」「そーゆー訳なので」「あたしがこんな莫迦なので」などと、「なので」のよって来たる所以を内包した日本語で発語せよ。13/8/4

 

すたすた坊主とはおれのことよと白隠言い 

 

あ、そう。それほどナチスの手口にあこがれるっていうわけですか。それより君は敬虔なカトリック信者なんだから神社なんかに参拝しないほうがいいんじゃないかな。

 

小林秀雄がどんだけ偉いか知らないが、文藝批評家というのは人の褌で相撲を取る残酷にして自己中で能天気な三枚目だ。おのれが七度生き直しても絶対に書けない小説を、偉そうにたった七分で酷評して顧みない。

 

 

なにゆえに「ハムレット」を演じたかったのか甥が叔父を殺す北朝鮮の悲劇 蝶人