蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

美神たちの黄昏 第六夜~西暦2014年弥生蝶人花鳥風月狂歌三昧

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ある晴れた日に220

 

 

無理矢理に遣おうとしたが縊死してた古式豊かな旧字旧仮名

 

無理矢理に旧字旧仮名で歌詠めばラテン語で書くローマ人の心地す

 

様々なネタが現れ次々に消ゆ回転寿司のように一年終われり

 

誰からも忘れられた人をしみじみと思い出している忘れられた人われ 

 

「お父さん、人身事故いやですねえ」と息子はいう

 

「お母さん人世って何?」と聞く息子に「過ぎてゆくこと」と答えている妻

 

「ありがとう」とバスの運転手に礼を言うまだそんな人がいる私のこの街

 

潔く眼を閉じて死を待ちし青鷺ベンジャミン

 

鴨一羽匹殺せはしないこの子哉

 

薄四分泡立草六分秋津島

 

秋深しわが祖父母はいずこなるか

 

鎌倉を関取が行く小春かな

 

木犀やわが祖父は祖父ならず

 

鯉幟われに二人の男子あり

 

秋明菊がこんなに咲いていいのかしら

 

わが足の小指の爪の小ささよ

 

小春日や北枕でする宵寝かな

 

中也忌やなんのおのれが桜かな

 

中也忌やおひたし食す白き骨

 

行く年や忘れられし人を忘れまじ

 

発条を出し終えて死ぬ蟷螂

 

ほなあんさんあんじょうやっとくれやすわいらあでかけるさかいにな

 

わいらあ汲み取りのない厠にスンドルようなもんやそら臭いわ汚いわ

 

若い女のこやったらできるみたいやでとプールの中でオバハンがいうとった

 

ほんまのこといううたらなあみなモアイの像塩みたいな塊になってしまうさかいわいらあ黙っとんや

 

余りにも長く都会に暮らしたりもう故郷の言葉は喋れない

 

金銀の世、我良しの世、獣の世を断じて拒否したり出口なお

 

妻君が裏の畑でおろ抜いた大根の葉を毎日食べてる

 

残りものには福ありやたった2袋だけ残った1袋198円のナス

 

隕石をひらりひらりと交わしつつ今宵も地球はゆるやかに巡る

 

 

なにゆえに急に耕君はドモルようになったのか悪いやつらが圧迫したから 蝶人