蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

「リヒアルト・ストルツマン・クラリネット作品集」全10枚組を聴いて

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音楽千夜一夜第332回

 

 

ストルツマンのクラリネットは、モザールであろうがプーランクであろうが、常に清く正しく明るく、しかも透明でのびのびとした旋律を奏でる。その点ではちょっとフルートのランパルに似ているのかもしれない。

 

であるからして、とかく晦渋な印象を与えがちなブラームスクラリネットソナタやトリオをリチャード・グードや東京カルテットのメンバーと演奏しても、まったく屈託がなく、晴れた空に暗雲ひとつない精朗な音楽が流れているさまは、能天気な笛吹童子の生まれ変わりかと思う人もいるかも、しれないか。

 

 

なにゆえに曇り空から晴れ間がのぞく笛吹童子は能天気だから 蝶人