蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第11回

f:id:kawaiimuku:20140527103253j:plain

 

西暦2014年皐月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.182

 

 

そんなに国益戦争ごっこがお好きなら、中東でも尖閣でもボランティアで突撃してきなさいよ。あんたと幹事長の2人だけで。5/31

 

大戦の死者を悼むためにあの戦争を肯定するのは論理の筋が通らない。同時代への解釈は宗教儀式とは別の範疇に属します。丸谷才一「楠正成と古代史」

 

平安貴族は天台宗をいちおう信奉しながらも、現世の利益を求めるためには真言宗に頼って祈祷し、死に臨んでは浄土宗によって往生したいと願ったのである。丸谷才一「女の救はれ」

 

匂宮や薫大将の時代が中世だとすれば、光源氏や紫の上の生きていた時代が古代、あるいはそれ以前である。丸谷才一「むらさきの色こき時」

 

平家物語は源平の戦乱の怨霊を慰撫するためにつくられた。丸谷才一「女の救はれ」

 

アジアでは数少ない民主主義を崩壊させるタイの軍のクーデターには、反対せざるをえない。たとえ国民がまっぷたつになって対立抗争を繰り返していても、軍は手出し無用。わが国の自衛隊にも要注意である。

 

下手な2丁拳銃よりも丸腰の方が安全である。誰からも畏敬されていた保安官ワイアットアープは、腰のピストルなしで乱暴者だらけのドッジシティを治めていた。

 

やたら2丁拳銃を持ちたがる安部保安官よ、別にお前さんのピストルであたしの命と安全を守ってもらわなくても構わないんだがね。お前さんの狙いはもっと別のところにあるんだろう。

 

世の中悪い奴ばかりだというのが本当だとしても、あたしは丸腰のほうがかえって安全だと思っているんだ。

 

安倍蚤糞を商売繁盛の大恩人と心から感謝しているその男は、彼が他ならぬその男をいつでもどこでも戦争に駆りだせる準備をせっせとしていても、ひたすらスマホで金の計算を続けているのだった。

 

特定秘密法案、公共放送の国家管理化、集団自衛権の行使容認等々、平成の独裁狼は次々に大坂城の外堀を埋め尽くし、真田丸に拠る幸村の孤塁を粉砕しながら寄る辺なきアンシャンレジーム聖羊母子にとどめの砲弾を撃ち込もうとしているのだった。

 

集団自衛権の行使を容認して憲法第9条の絶対平和主義を毀損しようとする者は、憲法違反で起訴されるべきである。

 

有名なサスペンス作家のスティーヴン・キングという人の日本語の表記は、ステファン・キングではなかろうか。

 

夢日記をつけるようになってから、私は毎晩欠かさずいろいろな夢を見ていることが分かった。つまり私は、文字通り夢のような日々を送っているというわけだ。

 

ウエストミンスター寺院の僧が、ハンバーグの代金をラトビアからの店員に小銭で払いながら「あと2ペンスだね」というところを「2p or not 2p」とハムレットにかけたジョークを言ったので、さすがは英国と感嘆した。NHK「世界街歩きロンドンの巻」

 

「なんといっても今がいちばん若いんだからね」と言って、妻が私を励ましてくれた。

 

誰一人頼みもしないのに、おじいさん、おばあさん、おとうさん、おかあさんを守るのはオイラの義務だと嘯く平成のスパイダーマンは、そのじつ戦争の危険がいっぱいの地雷原にこどもたちを導くのであった。

 

あらゆる芸術は音楽に憧れる。

 

国語は民族の記憶ををさめる仄暗い倉庫である」とマラルメは言った。丸谷才一

 

何を言はれても天皇は、「ア、ソウ」としか答えなかった。なかでも有名なのは、九州にいらしたときに、「あれが阿蘇山でございます」と県知事が言ったとき、「ア、ソウ」と言ったといふ話がある。丸谷才一「ゴシップ的日本語論」

 

「やつめうなぎはどんなことを考えるんだろう?」

「やつめうなぎは、とてもやつめうなぎ的なことを考えるのよ。やつめうなぎ的な主題を、やつめうなぎ的な文脈で」村上春樹「シェラザード」

 

言葉は浅く、意は深く。堀口大學「わが詩法」

 

深海魚光に遠く住むものはつひにまなこも失ふとあり 堀口大學

 

いくら憲法を改定しても、日本人の本性が変わらなければなにも変わらないだろう

 

憲法記念日に国旗を出している家があった。余人はいざ知らず、私は憲法前文と9条の精神をさらに発展させて、この国を世界でもっと弱い、赤子のように無力な無防備国家にしたいものだと夢見ている。

 

 

なにゆえに被災地からの犬は発作を起こすのかこの世の地獄をその目で見しゆえ 蝶人