蝶人戯画録

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テリー・ギリアム監督の「ブラザーズ・グリム」「Drパルナサスの鏡」をみて

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bowyow cine-archives vol.668&669

 

ブラザーズ・グリム」は、2005年に英国で制作されたギリアムお得意の幻想的冒険譚なり。

 

童話で有名なグリム兄弟が登場して大活躍をするというわけだが、テリー選手もなんと今年で73歳。

 

いろいろ同工異曲の色物に手をだすものの、結局「モンティ・パイソン」と「未来世紀ブラジル」を超えることが出来ないのはまことに残念無念である。

 

「Drパルナサスの鏡」は2009年の超幻想映画であるが、最新のテクニックでその映像魔術を駆使し、酩酊すればするほど鼻白んでくるのはなぜだろう。

 

 「モンティ・パイソン」の機知や「未来世紀ブラジル」の映像ワンダーランドは主題と技法がぴたりと一致していたからこそ、あれほど既存の映像世界に革命的なめくらましを与えることができたのだが、それ以降は技法だけが肥大化し観客をおいてけぼりにして独り歩きどころか激走しはじめたのだあな。

 

 この抜群の腕前を誇る映像実験家に、誰か適切な助言と薬を与える人がいてほしかったとないものねだりするのは私だけではないだろう。

 

 

 なにゆえに海岸で大音量の音楽をかける海辺は波の音にゆだねよ 蝶人