蝶人戯画録

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三隅研次監督の「大菩薩峠」 をみて

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.915、916,917

 

市川雷蔵が主演する1960年公開のこの映画は、後年の「眠狂四郎」のキャラクター、型形の先駆をなすもので、刀さばきまでうりふたつである。いわれもなく辻斬りをしたり、人妻を凌辱したりする主人公机龍之介アナーキーな生きかたを肯定的に眺めることができるひとはこの映画を楽しむことができるだろう。

 

続編の「大菩薩峠 竜神の巻」では天誅組の蜂起に参加した机龍之介が盲目になってしまうのだが、そんなことよりムクの活躍が見どころ。わが家にいた愛犬ムクと違って大きな黒い犬だが、お君を助けて悪者共をやっつけるのである。

 

 

大菩薩峠 完結編」では机龍之介を兄のかたきとつけねらう宇津木兵馬との対決が待っているのだが、龍之介はどういうわけか行く先々で美しい女たちに慕われ囲われるのが映画ながら気になる。盲目になってもびしばし人斬りをやらかすやさぐれ浪人のいったいどこがいいのだろう?

 

   何者にも裏打ちされない妄念を君はいつまで歌っているんだ 蝶人