蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

DVDには寿命がある!?


♪バガテルop40

9日の旭日新聞の夕刊トップに「DVDディスク寿命格差」という大見出しで、いま使われているDVDディスクの中には数年で劣化してデータを読み出せなくなるかもしれないと警告する記事が出ていた。DVDディスクなら孫子の代まで大丈夫と思っていたのに1年で映像が消えうせる例も多々あるという。

国内ブランドの一部は半永久的に保存できる優良製品もあるようだが、私が愛用している1枚30円から40円の台湾製は、実験前からエラーが多すぎて寿命の推定が不可能という劣悪品が多いそうだ。そういうこともあるかもしれないと漠然と考えていたが、実験結果をこのように露骨に突きつけられるとはたと頭を抱え込んでしまう。

私は前にもここで書いたように、NHKBSで放映されるすべての映画とクラシック音楽、歌舞伎などの新旧演劇番組を連日DVDディスクに録画してきた。1日にたかだか4番組くらいだが、それが毎日毎日何年にもわたるとおびただしい数量となり、私のような恒産なき流浪のルンペン・プロレタリアートには1枚100円以上もする国内盤はいくら品質が優れているとはいえ経済的に負担がかかりすぎる。

よって超安価な台湾製のあれやこれやをためつすがめつ大量に買い込むことになる。ところが100枚2300円のお買い得を買ったはいいけれど、それがちゃんと録画できないこともよくあり、これまでいくど痛い目に遭ったか分からない。例えばZEROは人気の台湾ブランドでそこそこ品質もよく、値段も安いので愛用していたが、ある時期から工場だか規格が変わったらしく、私のレコーダーがいっさい受け付けなくなってしまった。

やむなくPRO-FEELブランドに転向しそれなりに満足していたら、突然この製品が冷凍餃子のように市中に出回らなくなってしまった。そこでようやく超破格値のFINEブランドに切り替えたところ、この16倍速がそれこそ早い・安い・美味いの3拍子が揃っているのでやれやれと安心していた矢先に旭日新聞の記事である。

もし私にお金があったらもちろん国産を買うだろう。しかし国産といっても三菱のように台湾の工場に委託しているものも多く、純台湾製ほど多くはないがけっこうトラブルも生じるから始末におえない。

コストの問題以上に問題なのは収納スペースだ。私の狭い書斎はすでに無数の書籍群とLPレコード、カセットテープ、ビデオテープの大群に加えてかの「あほばかレーザーディスク」まで捨てるに捨てられない状態で死蔵されている。これに加えて日夜増殖を遂げつつある膨大なDVD! 過大な加重に耐え切れず部屋の土台が崩れ去る日も近い。

それにしても、と私は考える。どんどん膨れ上がるこの膨大なソフトを、果たして私は生きているうちに鑑賞できるのだろうか?

全山の緑を剥がしてことごとく墓に変えしは堤義明
堤氏が山を毀ちて築きたる墓に眠れる義父と叔父かも
いち早くその白き墓購いて父叔父葬りし我ら一族