蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2012年霜月蝶人狂歌三昧

kawaiimuku2012-11-30



ある晴れた日に 第118回


残菊や凡人小事のうれしさよ

圧殺の森の下生え紅き色

ザクザクと団栗踏んで山登る

秋の蚊を柔らかく叩いて殺す午後

父母すべて喪いし二人の秋の旅

高野山一日二食の聖かな

季語の無き俳句を憎む俳諧師

凩や行方不明者がまた一人

「いいね!」とは誰も言わぬ日十三夜

東西に老若二人のナポレオン

馬鹿殿は中国と戦争したがっている

馬鹿殿よ血迷うなかれ枯れ薄

秋深し伸びたる爪の不気味さよ

玉虫も死に絶えたりな里の秋

十三夜今年も馬齢重ねたり

木枯しや被災地からの犬吠えず

柿全部鳥に喰わせるお大尽

米櫃に穀象虫探す秋の夜 

蟷螂は鼓腹撃壌発条出せり

セブンイレブン中国と戦争しているやな気分

死してまた蘇りつつ世直しを未来永劫続ける洒落者

にしてもさっさと民社党を見限りシンクタンクに転職するという神奈川4区長島一由

にしても轢き殺されて地べたに横たわっている蟷螂はわたくしのようだ

亡くなりし義母の携帯解約できず机の上にまだ置いてある

新しきアクアのブルーを買わんとしたがシルバーを経てホワイトとなりぬ

列島の超高層ビルをことごとく平屋に畳めば愉快なるべし

革命の美名の下に屠られし草莽の民何処へ消えしか
 
自分にもよくは判らぬことだから超難解の言辞を一発

いたずらに愛国を呼号する莫れその君こそが国を滅ぼしている

国家より大事なものは個人のしあわせ君「愛国無罪」を叫ぶなかれ

二読三読四読まだ意味不明この新古今調のコンチキチン

野田橋下安倍石破慎太郎どいつもこいつも消えて無くなれ

尖閣竹島よりも東北の喪失国土をとく回復せよ

権力を我がものにせんとつるみあう我利我利亡者に災いあれ

いつの間にか中国と戦争してもいいような気になる自分が怖い

ミラノ・コレに昔の名前で出ていますジル・サンダー」byジル・サンダー

ジャガイモにするかタマネギにするか迷うも楽し百円野菜

左側にハンドルを切り高速を墜ちゆくときの軽き眩暈

タヒチの女性は髪に花を飾ってる恋人がいる人は左にいない人は右側に

豚の如く醜く肥りし人たちが現れ出る度テレビ消すなり

純白のヨットのように走り去る4173湘南ナンバー

小泉翁逝き吉田翁去り鎌倉は死者が棲む街

水撒けば末後の水求めてカラスアゲハ来る

練炭で三人自殺したアパートをライトブルーに塗ってるペンキ屋さん

ヒッチの如く画面の世界の一点景となりて人世を生きたし


♪新説亜細亜版桃太郎音頭

一、桃太郎さん 桃太郎さん
海に浮かんだ尖閣竹島
全部わたしに くださいな

二、やりましょう やりましょう
 これから北の征伐に
 ついて行くなら あげましょう

三、行きましょう 行きましょう
 あなたについて どこまでも
 仲間になって 行きましょう

四、そりゃ進め そりゃ進め
 一度に攻めて攻めやぶり
 つぶしてしまえ 北の熊

五、おもしろい おもしろい
 のこらず四島攻めふせて
 分捕物を えんやらや

六、万々歳 万々歳
 お伴の犬や猿雉子は
勇んで車を えんやらや

七、桃太郎さん 桃太郎さん
これであらかた片付いた
今度は東を攻めましょう

目の前の石ころを蹴飛ばすわれにブランキストの心ありや 蝶人