蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ダニー・ボイル監督の「スラムドッグ$ミリオネアー」をみて

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bowyow cine-archives vol.651

 

 

インドのボンベイ、いまはムンバイというそうだが、の貧民窟に生まれ育った少年が、ひょんなことからテレビのクイズ番組に出場して巨額の懸賞金を勝ち取るがそれが正当な実力ではなくインチキだとする疑いで警察に連行される。

 

そして拷問からはじまる過酷な取り調べをつうじて、少年の秘められた暗い過去がだんだん明るみに出されてゆくというシナリオは大変結構だが、どうも演出がドンクサクてかったるくてどうしようもない。

 

こういう貧困は貧困であり、映画は映画なのだ。

 

社会的不正を高所大所から語り下ろす手口は昔からよくあるが、この映画のように語り口が下手くそだと、まるで漫画のようになってしまうし、実際ラストは漫画そのものである。

 

こんな作品がどうしてアカデミー賞をもらったのか、理解に苦しむ。

 

 

なにゆえにヤマカガシはおたまをむしゃむしゃ食べるそれが自然界の掟だから 蝶人