蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

美神たちの黄昏 最終夜~西暦2014年卯月蝶人花鳥風月狂歌三昧

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ある晴れた日に第231回

 

 

 

おそらくは誰にも知られず身籠らむかのガラパゴスの大亀のごと

 

ウォーホル描きし<サンフランシスコ・シルバースポット>なる絶滅危惧蝶サンフランシスコのいずこに舞うならむか 

 

いにしえの鎌倉人は現在の水道局あたりでイルカを食うたと

 

津波」てふバー&レストラン横須賀のどぶ板通りにありました

 

税金を払わなくならばたちどころに国家など潰れてしまうと考えている

 

山一つ潰して全部墓地にするその企てをひそかに憎む

 

一本の電信柱の陰にして母永遠に待つ西本町二十五番地

 

カエルたちを無事に産卵させるためスコップ振るいて水たまり広げる

 

裏庭に今朝もコジュケイが現れてモチョット平和モチョット平和と鳴くのです

 

スマホの後はウエアラブルらしいがガラケーの孤塁を守りわれは死にゆく

 

まだなのかもう咲いたかなと尋ねゆく亀田家のソメイヨシノが春の始まり

 

鎌倉の小町通りの発掘現場身の丈掘ればもののふの屋形

 

目の塵を舌でぞろりと舐め取りしわが祖父の名は佐々木小太郎

 

初蝶と呼ばれし蝶は大雪の厳しさに寒さに耐えて生き延びし蝶

 

ほんとうは祈っても仕方ないと知りつつ祈るしかなくて沖つ白波

 

「昔のわたしってこんなに美人だったんだ」と驚いてるが今の君だって相当奇麗だ

 

短歌が芸術? ばかな。あれはサプリ。毎朝飲んでいるビタミン剤のようなもの。

 

宇宙には暗黒物質があると聞きわが魂の暗闇をおもう

 

三月や生きてしあればそれでよし

 

春雨や歌壇の雄との別れかな

 

「桃げん郷」の真ん中の字が出でこない

 

小綬鶏に一寸来いと呼び出されて春の朝

 

発条を出し終えて死ぬ蟷螂

 

桜咲く安西水丸逝きし日に

 

亀田家の桜一輪に浮かれだす

 

鶯の初音の上手訝しや

 

ウォホールとは俺のことかとウォーホル言い

 

テレビよりタモリに投げし我のくす玉

 

春風やSTAP細胞あらまほし

 

ジャンヌ・ダルクの手柄を盗むお茶ノ水博士

 

生者より死者懐かしき梨の花

 

春風や「スタップ細胞はあります」と言ってみる

 

丹波弁も東京弁もちゃんと喋れなくなってしまった

 

だんだんと死者懐かしき春の夜

 

てのひらに小石を乗せれば人の命かなしも

 

百年の孤独が去りてボルヘス逝く

 

オフェーリアのように花盛りの椿の木が流れてゆく

 

 

これからなにかいいことありそうかね、中村うさぎチャン。蝶人